2024年12月29日(日) 11:19 JST

ぬいいと、熱く語る!!

9月7日(金)

( お話は「 9月3日(月) 」から始まります。)

台風一過の晴れ間もつかの間、また次の雨がやってくるという。

「 防水シートが敷いてあるから
 たぶん大丈夫。」

と職人さんが言っていた屋根はホンマに大丈夫なんだろうか?

・・・大丈夫じゃなかった。

昼からほぼ夜通し降り続いた雨。
最初壁染み程度だった雨漏りは徐々にひどくなり、夜中には雨漏りならぬ「雨流れ」の状態に。
ブルーシート敷きいの、バケツで雨水受けぇの、雨水が窓の外に流れるよう細工しぃのと、旦那さんがほぼ徹夜で対処にあたる。
明日も仕事やのに、ホンマ、ありがとう。



(「 9月8日(土)からその後 」へつづく。)

9月6日(木)

( お話は「 9月3日(月) 」から始まります。)

仕事へ行くべく職場の最寄り駅に降り立って言葉を失った。
景色が全く変わってしまっていた。
いつもの道を十数メートル行ったところで一瞬迷子になった。
木という木がほぼ全てなぎ倒され、道が塞がれていた。
慌てて回りを見渡すとすぐ横の道をみんなが行く。
ヤレヤレ。

大木が根っこごとひっくりかえっているのを横目に見ながら職場へ通う日が後に10日ほどつづく。
https://youtu.be/LIIjBQiaC0w

( 「9月7日(金)」へつづく。)

9月5日(水)

( 始まりは「 9月3日(月) 」からです。)

さぁ、あとかたづけだ。

いや、その前にまずは「 危険回避作業 」。
台風でめくれあがった屋根瓦が何かの拍子に落ちてくるかもしれないので、業者さんがくるまで我が家の危険を周知しないと。

「頭」「上」「注」「意」
と、A4サイズの紙に一文字ずつ書き、自転車に貼り付けて家の前にドンと置く。
すぐそばに学校があるので毎朝通る学生さんはもとより、誰かに瓦が落ちてきて当たったら大変だ。
しくった、その自転車、写メっといたらよかった。
かなり笑える絵面だったのに。
( 笑ってる場合やない。)

こんなときだけど、1ヶ月前から予約していた毛染めのモニターに行く。
理容専門学校の生徒さんが仕上げてくれるのだが、電車のダイヤが大幅に乱れていて生徒さんが揃わない。
生徒さんとのおしゃべりは台風の話でもちきりだ。

お昼に業者さん到着。
どこの業者も電話さえなかなか繋がらないと世間が嘆く中、思ったより早く来てもらえた。
本職の瓦職人さんではなかったが、落下しそうな瓦をできうる限り撤去してもらう。
2~30枚あっただろうか。

「 瓦の下が防水シートになってるから、ブルーシート敷かなくても大丈夫かも。」

と言う職人さんの言葉を信じ、その2日後にとんでもない事態が起こる。

自らの屋根瓦でサッシの扉が割れたと思っていたら、割れた扉の外には明らかによそ物であろうコンクリートの板が落ちていた。
どこのやろ?あそこのか?あんな遠くから飛んできたんか?信じられへん。
寝床や部屋、ベランダに飛び散ったガラスを丁寧に片付ける。



ベランダや家の回りなどに散乱したモロモロを片付けたらもう日がかなり斜めに傾いていた。

なんか、疲れた。
胃けいれん、おきてきたし。
明日はシフトインの日。
仕事、あるんやろか?
開業以来1日しか休んだことがない職場・夢がもう2日も休んでる。
さすがに明日は、やるやろな。
ごめん、ばんごはん、さぼらせて。

( 「9月6日(木)」へつづく。)

9月4日(火)

(「 9月3日(月) 」 よりつづき。)

9月4日の朝。

「 ここまでせんでも大丈夫か?」

とは思いつつ、自転車をガレージに入れぇの、洗濯場に置いてある小物を片付けぇのと、噂にきく大型台風に備えていつもよりほんの少し念入りに対策。

あまりに静かな時間が過ぎるので、エィとばかりに買い物に出かける。
台風前なのでスーパーもすいてるかなぁと思いきや、ダダ混み。
みんな考えることはいっしょやな。

「 電車停まるっちゅうのに
  台風くるっちゅうのに
 自転車組は出勤やて。
  零細企業はつめたいわ!」

と、ブチブチ言いながら朝に出かけた旦那さんがお昼に帰ってきた。

それにしても静かだ。
やっぱり大阪に台風!は来ないのか?

゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆

9月4日の昼。

それでも徐々に雨風が強まってくる。
テレビをかけながら2階に引きっぱなしの布団の上でウダウダする。

ん?なんか、やばい。
風、強すぎる。
南向きベランダのけっこう頑丈であるはずのサッシ扉がガタガタ鳴る。
今まで聞いたことがないような異様なすきま風の音。
え?なんで?閉めてるはずのサッシ扉から雨水が吹き込む。

「 カンカラカンカンカーン!!!! 」

おい!?なんか落ちたで!!
いや、飛んできたんか?
うぁ!なんぼ(いくら)でも飛んでいきよる!
なんなん(何なの)?何が舞ってるん?
うちのん?よそのん?

なんなん!ベランダに何か横たわってる影が見えるし!
旦那さんがその影が何なのかを確認すべく扉をあけようとするが、ビクともしない。
風に押されて扉自体が湾曲してるみたいだ。

「 わ~!!アカン!ガラス割れとる!! 」

心配になって3階の様子を見に行った旦那さんが叫ぶ。
筋金入りで頑丈であるはずのサッシの扉が、なにかが飛んできて割れていた。
いつもY太が寝ている寝床、そして小一時間ほど前まで私がうたた寝していた寝床の上にガラスの破片が飛び散っている。
台風来るのが夜中でなくて良かった。
Y太の頭に直撃してるところだ。

うぁ、耳までキーンとなってきた。
電車乗ってトンネルくぐった時になるアレだ。
ふと命の危機を感じたと同時に雪の顔が浮かんだ。

「 雪も恐がってるはずだ。」

同じ大阪市内のマンションにひとり住いしている長女・雪に電話する。

「 雪、大丈夫か? 」
「 ヤバい。」
「 危ないからガラスからは離れときや。 」

駆けつけてあげたいけど、呼び寄せたいけど、あとの祭りだ。
せめて少しでも心細くならないようにと、何度か電話をいれる。

成す術がない。
もう台風が通り過ぎるのを待つしかない。
あと1時間?2時間?
つけていた扇風機やテレビが消える。
ミシミシと家が鳴る時間が続く。

゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆

9月4日の夕方。

ようやく風雨もおさまり、外の様子を確かめに出る。

さきほどベランダに横たわっていた影は、我が家の雨といだった。
家の回りには見覚えのある屋根瓦が落ち、割れて散乱していた。
上を見上げるまでもなく、その瓦は我が家のものであるとすぐに認識。

「 おたく、電気点いてまっかぁ?」

「 い~や、ぜんぜん。」

「 ほな、うちだけやないねんなぁ。」

停電が自分の家だけではないとわかるとなぜかホッとする。
でも道路隔てたすぐ向かいの界隈の電気が点いていると、ちょっと腹が立つ。

雪に電話してみる。

「 恐かったなぁ、そっちは電気、大丈夫か?」

「 うん、大丈夫、点いてるで。」

…ちょっと腹が立つ(笑)。

日が沈むとみるみるうちに暗くなり、町内はブラックアウト状態に。
家中の懐中電灯をひっぱり出す。

「 おとなりのおばあちゃん、大丈夫やろか?」

明かりのない中、ひとりでは心細すぎる。
様子を見に行き、懐中電灯があるのか尋ねると
「 うちにもあるよ♪」
といって差し出してくれた。
点灯チェック。
…電池、入ってない。(´・ω・`)
よかった、見ておいて。
我が家の乾電池を入れて事なきを得る。

゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆

9月4日の夜。

まだ電気がつかない。
おもむろにY太がトランプを広げ始めた。

「 ババ抜きしようぜ。」

「 あ、ババ、2枚とも入れてしもた。」

「 ほなジジ抜きやな。」

「 ババ抜きって、何十年ぶりやろ。」

真っ暗なキッチンテーブル上で懐中電灯はさんで親子3人のババ抜き大会

新鮮な気分もつかの間、すぐに飽きる。

停電中だけどガスと水道は通ってる。
食材もあるので夕飯を作ろうと思えば作れるが、どうにも作る気になれない。
換気扇が使えなくて、部屋に匂いがこもるから、という言い訳を無理からつくって外食することにした。

駅前にある大手チェーンの定食屋さんへ。

「 30分ほどお待ちいただけますか?」

お客さんの入りはさほどでもないが、店員さんが少なすぎて手がまわらない様子。
バッシング、手伝ったろか?

それにしても、いつまで停電が続くんだろう。
と、そんなときにlineが入る。

「 そちらはまだ停電のようですね。
  何か協力できることがあればおっしゃってね。」

道路隔てたすぐ近くのマンションに住むママ友からだ。

「 ありがとー、冷蔵庫の中の食材が気になって、、、」

夜遅くにもかかわらず、食材を預かってもらえることになった。
(ー人ー) ありがたき幸せ。

食材が無駄になる心配もなくなり、日付ももう変わろうかとしていたので、さぁもう寝ようかと寝床に入った頃に灯りがもどってきた。

( 「9月5日(水)」へつづく。)

9月3日(月)

「 明日、お店はお休みします。」

日雇いバイトの休憩中に、本業の職場からメールが飛んできた。
年中無休で少々の嵐が来ても根性で営業する職場・夢も、電車が動かないとなるとお手上げだ。

日雇いバイトの仕事場マダム、曰く。

「 明日、朝のうちは大丈夫やんな。
  仕事終わる頃には台風もおれへん(いない)やろし
 ココにおったらみんな一緒やから安心や。」

休むことなどハナから考えていない。
今日の勤務先は家族経営の町工場である。
臨機応変に仕事できるのがメリット、雨が降ろうが槍が降ろうが納期厳守しないと家族ひっくるめて死活問題なのがデメリット。

明日予定していた用事がキャンセルになり、自転車でその職場に行ける私はバイトに入れないかお願いしようかとも考えたが、思い留まった。

思い留まってよかった。

まさか、あんなことになろうとは。

(「 9月4日(火) 」へつづく。))

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