2024年12月27日(金) 05:52 JST

お話上手・その3

(「 お話上手・その1
 「 お話上手・その2 」よりつづき )

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「 なんで加害者がオレらの住所知ってるねん?!
  被害者のオレらが加害者の居場所教えてくれ言うても
 絶対教えてくれへんのになんでアッチには教えるねん?!
  おかしいやろ!!」

小粋ないでたちの殿方が謝罪にきた男性に向かって吠えた。
あの不幸な出来事があってからわずか数日のあいだに
もう何回彼を見ただろう。

無免許の未成年が運転していた車が登校途中の小学生の列に
突っ込み、尊い4つの命が奪われた亀岡市での事故。
冒頭のシーンは事故の数日後に加害者の父親が被害者宅に
謝罪しにきた時だったか
情報漏洩した警察が謝罪にきた時だったかのやりとりが
オンエアされた時のもの。

「 本当はこんなテレビだとか表立ったところになんか
  誰も出たくない。  だけど誰かが言わなきゃ忘れられてしまう。
 娘や孫が遭ってしまった悲劇を風化させちゃいけない」
身重だった娘を亡くした彼はその後も幾度となく
メディアに登場した。

事故当初はカメラが向けられた時だけ受け答えをしていた彼。
その彼が危険運転致死傷罪の高い壁にぶち当たり

「 法律を絶対にかえてやる 」

という使命を背負った時から
自らカメラの前に出向くようになった。

おそらく初めてであろうスタジオセットの中で
緊張した面持ちでMCの質問に答える彼。
声はこころなしか上擦っていた。

「 この人も、これからだんだん『 お話上手 』に
  なっていくんだろうか。」

ふと、そう思った。
横田さん、光市の本村さん、東名高速の事故で亡くなった
姉妹のご両親、松本市の河野さん…
私が気づいた時にはもうすでに皆さん『 お話上手 』だった。
カメラ取材にも上擦ることなく落ち着いて、淡々と語られる。
皆さん、もとはといえばこんなにメディアに晒されることが
ないはずの一庶民だった。
『 運命のいたずら 』
それがなければ。

自らメディアに出向いた彼の出で立ちは
カッコいいちょい悪オヤジ風ではなく
凛々しいスーツ姿だった。
世間一般の感覚からすれば当然のことだが
彼にすればこのスーツは「 鎧 」を意味するのではないか
と感じたのは私の思い過ごしだろうか。

こんなことで著名になることは彼にとって本意ではない。
「 できることならば娘とかわってやりたい 」
彼の成し得ない本当の願い、痛いほどよくわかる。

彼が「 お話上手 」になる前に、少しでも早い時期に
彼の「 せめてもの願い 」が成就することを祈るばかりである。

感謝しています

「 みんな同じようなコメントしてるけど『 こう言え。』って
  言われてるんかなぁ。」

オリンピックメダリストたちのコメントを聞いていての
うちの旦那様の率直なコメント。
(^-^) ま、確かに。

「 ここまで支えてくれた家族や周りの方たち、チームメート
 そして声をからしてまで応援してくださった皆さんに
  心から感謝したいと思います。」

強制的に言わされているとは考えられないが
何か例文でもあるのかなと、ふとよぎってしまうのも
わからなくはない。

ただ、おそらくどのメダリストもその言葉に偽りは
ないと思うし、メダリストに限らずあの舞台に関わった
アスリートの大半がそういう思いを持っていると思う。

スポーツは( スポーツに限ったことじゃないけど )
大なり小なりお金がかかる。
そして目指すところが高くなるほどほぼそれに比例して
先立つものの必要性が大きくなる。

たとえばアスリートたちの過去を振り返った場合
幼少時代、意欲と才能はあるけどレッスン料が払えなくて
教室をやめざるをえなかった同級生が周りにいたかもしれない。

子どもの遠征費捻出に借金しまくってる親がいる
なんて話を小耳に挟んだことがあったかもしれない。

会社の経費節減のために所属クラブが解散に追い込まれる
なんて話はもう珍しくないお話になった。

オリンピック出場を決めたもののスポンサーがなく
東奔西走した水泳メダリストもいた。

そういやあの熱血市民ランナーもオリンピック直前には
ミキハウスのウェアを着ていたな。

そんな壁を乗り越えてきた選手たちはもちろん
実際にそんな壁に合うことなく自らの鍛錬だけに注力できた
恵まれた選手たちもきっとそんな話がまわりにゴロゴロ
転がっていて、世の中の厳しさを感じていただろう。

「 心から感謝したい。」

ありきたりだけど、生きた言葉だ。

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オリンピック選手に限らず、イマドキの若いモンは
本当に大変だなぁと、常日頃から職場の keshidama さんと
話している。

この厳しい世の中に揉まれている、慎ましやかだけど
底力のあるイマドキの若いモンたち。
彼らに任せれば未来はそんなに暗くないとは思うのだが
はたしてその彼らが世の中の中枢を担うまで
この日本は無事に存在しているだろうか。

塾やお教室に真面目に通ってさえすればエライとほめられ
親に大枚はたかせて入学した大学は遊ぶところだと豪語し
売り手市場で企業から手厚い接待を受けた就職活動を経て
絢爛豪華な結婚式をすることが親孝行だった
バブル世代の私たち。
そんなバブリーが今、世の中の中枢を担っている。
イマドキの若いモンに比べてどこか軟弱なところがあるのは
否めない、と感じるのはぬいいとさんだけだろうか。
それとも担う世の中が厳しすぎるのか。

イマドキの若いもんにバトンを渡すまで
なんとか日本をなくさないようにしないと。
がんばろう、バブル世代!

お話上手・その2

娘と食卓を囲んでいたとある夕暮れ時、テレビの報道番組で
北朝鮮拉致被害者・横田めぐみさんの母、早紀江さんが
取材に応じてあれこれ語られていた。

笑「 この人、しゃべり上手いなぁ。」
ぬ「 そりゃなぁ、これだけ場数踏めば上手くもなるで。
ホンマ、元はといえばなんてこたぁない
普通のご婦人のはずやったのになぁ…。」

講演、陳情、取材、各界要人との面会、マスコミへの露出…
もう何十年と、ご本人の意志とは関係なく降りかかっている。
いや、正確には
「 理不尽な理由で連れ去られた娘を連れ戻したい 」
ただ、それ一心で動いてらっしゃるがゆえにいろんなものが
付随してきている、ということかな。

著名人になりたかったわけではない。
偉業を達成したわけでもなんらかの罪を犯したわけでもない。
人脈を広げて認めてもらおうと思っているわけでもない。
ただ、平凡に穏やかに家族と一緒に暮らしたかった
そんなご夫婦だ。

前述、まー君の場合は自ら掲げた目標に付随してくる副産物は
いいことも悪いこともすべて前向きに受け入れることが
比較的容易である。
しかし横田さん夫妻の場合、リスクはもちろんのこと
一見かっこいいと思える様々な事象やメリットに対して
ご本人がどう捉えるかは自由としても、第三者が安易に
評するのはいかがなものかと思う。
間違っても
「 不幸にみまわれたけど、有名になれたし、いいじゃん。」
なんて言葉は御法度だし、そんなこというヤツは
ぬいいとさんが月に代わってオシオキよ!( 古 )

「 あの娘はあの日あの時、たまたまあの場所を
通りかかっただけなのに。
あの日の時間の歯車がひとつでもずれていたら
こんな目には遭わなかったのに。」

時のいたずらで人生を翻弄された方たちがゴマンといる。
平穏な日々を送っていることが奇跡的なのかもしれない。

(「 お話上手・その3 」につづく )

お話上手・その1

楽天イーグルスのまー君こと田中将大選手が
プロに入団したばかりの頃のお話。

シーズン前にルーキーばかりを集めた研修会なるものの場で
「 マスコミに対する応対の仕方 」という講義があった。

講師曰わく。
「 では『 今シーズンの抱負は?』とインタビューされたら
どう答えますか?ハイ、田中くん。」

まー君、曰わく
「 はい。
まずは社会人として……云々かんぬん……
その上で体力強化、精神面での……云々かんぬん……
以上、精一杯がんばります!」

あまりの受け答えのすばらしさに感嘆のため息が
講師や他のルーキーの口から洩れた。

講習のあと、その様子を取材していた局アナが
まー君に訊ねた。

「 なぜそんなに受け答えが上手なんですか?」

まー君はひとこと。
「『 慣れ 』です。」

そうだな。
まー君、ゆうちゃんと高校生の時から常にマスコミから
注目されていた。
もう、ハンパないほど取材はうけていたはずだ。

「 しゃべりが上手になるにはどうしたらよいか?」
なんて考える以前に話す機会が怒濤のことくやってくる。
数をこなすうちに術が身についてくる。
もちろんまー君本人もただ漠然と受け答えするだけでなく
そのたびにどうすれば自分の思いがみんなに伝わるか
ということを考えながら話すということを
いつも怠らなかった、と私は察している。

しかしまー君にとって、話上手になることが
本来の目的ではない。

「 野球人として生きていく 」

という本来のテーマを追い続けていく上で
副産物として「 お話上手 」というものがついてきただけだ。

「 ぬいいとさん、そんなこというけどやっぱり
本人の資質もあるで。」
そんなもん、あたしの知ったこっちゃない(笑)。
( 注「 私の知ったことではありません 」の意。)
資質の有る無しで左右されるのは習得速度くらいだ。
資質があってもやらなきゃ進歩はなし
資質がなくてもバケる場合もある。

ちなみに、まー君のお話上手は私が知る限りでは
「 野球に関して 」だけである。
その他の話題に関して、あるいは普段の彼に関しては
あたしの知ったこっちゃない。(笑)

ただ、ひとつの道で得た術は、他の道でも応用できる術が
あるのも事実だ。

(「 お話上手・その2 」につづく )

ご無沙汰しています

「 4月に休業宣言したのって、何日やったかな?」
と遡るとちょうど3ヶ月前だったので慌てて綴りだした
ぬいいとさんです。

3ヶ月経ったら書く気があってもなくても
なんらかのアナウンスはしようと思ってましたので
とりあえずのご登場です。

今、現在の状況はと申しますと、書く気云々以前に
「 やらねばならぬこと 」の遂行が遅れていて
アップアップの状態です。

「 ブログというものを取り除いたら何が入ってくるか 」

3ヶ月前にこう言ってお休みしました。

本来は

「 ブログというものを取り除いたら
  自分は何を取り入れようとするのか? 」

という意味合いだったのですが、結果的には

「 ブログというものを取り除いた瞬間
 やりたいことをゆっくり吟味する間もなく
  怒涛のごとくミッションが舞い込んできた 」

といった状況にあいなりました。
ブログの引っ越し、ホームページ作成、広報紙仕上げ
同窓会ブログ立ち上げ…すべて同じ系統のミッションです。
あ、もちろん、やりたいことリストに挙がっている項目の
ひとつですよ。
でなけりゃお断りしています。

アレもコレもと気が散漫になりがちな私
なのに限られたキャパでやりくりするのが不得手な私なので
本人の意のままに放っておけばいつまでも結果がです
そのままフェードアウト、になっていたかもしれません。
そんな私になのでこの「 怒涛のミッション到来 」は
ある意味感謝すべき状況であるといえます。

不思議ですね。
今回のミッション依頼者の中で私の休業宣言をご存知の方は
ひとり、いるか、いないかです。
こちらの意図など関係なくお声をかけてくださった方ばかり
ということです。
偶然ですが、必然だったのかも?と思わされます。
すべての星の巡りに感謝。

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