2024年12月22日(日) 02:24 JST

一円のあんぱん

「 はいはい~♪おやつにしましょうかぁ?」

「 玉出の1円セールでゲットしたあんパンやで!」

「 ひとつのあんパンを4等分して分け合うって(笑) 」

「 私らって、なんて慎ましやかなんやろ~(笑) 」

「 糖質制限せなあかんからな、私らは
  これくらいでちょうどえぇねん 。」

「 そうそう、丸々1個は食べたらアカンあかん!(笑) 」

そう言って、父と義兄にも4分の1あんパンを手渡す。
ちょっと安めのボトルコーヒーをコップに注いで
わちゃわちゃ言いながらあんパンをチビリチビリ食べる
実姉 keshidma さんと私。
まだ私が実家の商売に携わっていた頃の話だ。

私は私生活に戻れば大きな贅沢さえしなければ
何不自由ない暮らしを送っていたが
生計を共にしていた父と姉夫婦の商い生活は
雨風しのぐ家と、支払い待ったなし状態のライフライン
そしてその日食べるだけの食費と明日の仕入れのための軍資金をかろうじて確保していたという状況だった。

早い話が「 その日暮らし 」である。

だがギリギリの生活だったけれど
1円あんパンで笑えたりと日々幸せを感じていた。
いや、其処此処にまばらに転がっている幸せの種を目ざとく見つけては拾って食べていた
といった方が正しいだろうか。

父が亡くなった今でもその商売を引き継いでいる姉夫婦の生活状況は変わっていない。

水光熱費が銀行引き落としされている。
倹約のために買った安売りの油や砂糖が
食材庫にたんまりある。
親しい友達に
「 夕方までに返すから一瞬千円 貸して。」
と言われたらその場でサッと貸せる。
何も贅沢してないけどひとつだけカルチャースクールに通っている。
いざというときはすぐに医者に行ける。
「 ないない 」といいながら多少のへそくりはある。

「 ウチ、お金ないねん。」
と言いながらも大概の方はこれぐらいのことは
クリアしてらっしゃるはず。
私のモノサシでは裕福な部類だ。

ただこれらすべてNGの keshidma さんでも
食う寝るところに住むところさえままならぬ方々からすれば
あんた恵まれてるで!って、言いたくなるんやろな。

まぁ、日本で暮らせていること自体が贅沢か。

お金のある、なしと、幸せの感じ方は別ものなんだな。
でも、「衣食足りて礼節を知る」も嘘じゃないんだな。

そういやその昔
一杯のかけそば
ってな話、ブレイクしたよな。
アラフィフ以上にしかワカラン話か。