2024年12月22日(日) 02:04 JST

お宝発掘

父の部屋を片付ける際、微かな期待を寄せていた。

「ひょっとしたらどこか隅っこの方から
 札束でも出てけぇへんかな?(* ̄ー ̄)」

父の晩年から没後にかけて隅から隅まで所持品を確認したが、期待は泡と化した。
札束はおろか、五百円札一枚たりとも出てこなかった。

お札はなかったけど小銭はジャラジャラと出てきた。
お店の釣り銭に使うために取り置きしたまま机の奥に忘れ去られていた百円玉30個とか
一円玉と五円玉だけ入った小さな小箱だとか。
中でも扱いに戸惑ったのが少し昔の小銭だ。
昭和30年代を中心に出回っていたひと昔もしくはふた昔前の百円玉、東京オリンピックや天皇在位、各種博覧会などの記念硬貨だ。
素人目に見ればちょっとは値打ちがあるんじゃないかと思われたが、ググってみればさほどでもない。
ちょっぴり後ろ髪を引かれながらも古銭はすべて銀行にて換金、Y太の1ヵ月分の小遣いぐらいになった。
埋蔵金は全部あわせても数千円ほどだったが、父の直葬費用で先の過払い金をほぼ全額使い果たしてしまっただけにとてもありがたく感じた。

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切手がやたらたくさん出てきた。
なかでもワケわからんのが9円切手20枚。
何に使っててん?どうやって使うねん?である。
別の切手やハガキに交換しようにも1枚当たり5円の手数料を払うと値打ちは半分以下になってしまう。
結局その時ハマっていた懸賞の応募はがきにズラズラズラと6枚貼って使うことにした。
超過分2円はくれてやる~!

あとは額面62円の記念切手らしきものの束。
ざっとかぞえても100枚以上ある。
何に使っててん?どうやって使うねん?である。
もう少し早く発掘していれば消滅時効援用通知書を配達証明付きの内容証明郵便で送るときに使ったんだけど。
(数千円かかった。)
地道に使っていこうかとも思ったが枚数が多すぎる。
で、ちょっとロスがあるけど手数料を払ってその他モロモロの切手やハガキもひっくるめてすべて弔事用のハガキと交換した。

「いや~!助かる!
 去年はハガキ買うお金がなかなか出来なくて
 喪中ハガキ出すの、年末になってしもてん!」

その日暮らしの実姉 keshidmaさんが
ホッと胸をなでおろす。
(keshidmaさん一家は2年続きの喪中だ。)
相続権のあるkeshidmaさん優先で必要枚数ゲットしてもらい、残りは手間賃がわりに私が頂戴した。
長女ピカリさん、ごめんやしておくれやして。
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金歯が出てきた。
大小取り混ぜて7つほど。
ちっちゃなチャック付きビニール袋に入れられて
ちょっと大事なものを入れてる引き出しから発掘された。
見た目、あんまりよろしくない。

「もう!おとうちゃん、こんなもんまで
 後生大事に置いてからに。」

同じくそのそばに鎮座していた入れ歯と一緒に廃棄しようかと思ったけど

「、、、待てよ?」

金歯でも換金できるとどこかで聞いたような、見たような。

「とりあえず、しかるべきところへ行って
 査定してもらってくるわ。
 何百円とかにしかなれへんかもしれへんから
 (何百円とかにしかならないかもしれないから)
 大きな期待はせんといてな。
 (大きな期待はしないでね。)」

相続権のあるkeshidmaさんにこう言って打診。
ググって出てきた職場近くの買い取り店に出向いた。

オフィス街にあるちょっと、いや、かなり敷居の高そうなお店だったが
思い切って門を叩く。
出てきたのは若い、一見気のよさげなあんちゃんだった。

あんちゃんは身内でさえ触るのをちょっとためらってしまうようなそのブツを
ひとつひとつ丁寧に査定。
重さを量った後にこう述べた。

「重さは全部で15グラムくらいですが
 いろんな不純物も混じってるので
 ざっと12グラムとしますね。
 それを14金換算で、、、
 こんな感じになります。」

・・・おぉ~。(* ̄∇ ̄*)
よくても数千円くらいかと思いきや
あんちゃんが差し出してきた電卓の数字は5桁を表していた。

「え?そんなに?!
 まぁ~、おとうちゃん!どうもありがとう!」

にいちゃんの目もはばからず、思わず金歯に手を合わせてしまった。
( ̄人 ̄)

「え?どれくらい、どれくらい?!」

ん~、うちの旦那さんのひと月のお小遣いより1割安、といった感じ。
最初は2~3件まわってみる予定だったが思ったより高値だったことと
アチコチまわるのも面倒だったこともあり
その場で換金してもらうことにした。

「やっぱりめんどくさがらず
 もう1軒くらい回った方がよかったかな?」

と、あとから残った小さな悔いは
今後どこかで遭遇するかもしれない
類似場面における教訓として心に残しておこう。

以上、発掘された埋蔵金は相続権のある
keshidmaさんの許可を得て
いったんおとうちゃん基金にプール。
骨納め、まだ終わってへんし。