内視鏡検査
- 2016年11月12日(土) 16:11 JST
- 投稿者: ぬいいとさん
- 表示回数 2,653
夏に胃の内視鏡検査を受けた。
2年ほど前にピロリ菌で引っ掛かった時以来
2度目だ。
私が受けたのは全身麻酔で眠らされている間に
全ての検査を終わらせる、といった
ほとんど苦痛のない検査方法である。
検査台にのぼり、程なく検査前処置が始まる。
「はい、ぬいいとさぁん、麻酔する前に
先に喉の筋肉を麻痺させるお薬いれますね~。」
あ、これや、前にもあったよな。
唯一この検査で苦痛を感じる瞬間である。
「唾が溜まってきてもかまわずダラダラと
お口から流してくださいねぇ。」
確かに、呑もうと思っても呑み込めない。
お言葉に甘えてダラダラと流すことにした。
フッと、数ヵ月前の光景が過った。
「おやじさんもこんな気分だったんだろうか。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結果的には父が亡くなった日の前日となった
その日の昼下がりのこと。
面会に行った私の目に入ってきたのは
半起こしのベットに座らされた父が
首を傾け、口からよだれが流れ放題で
放心状態になっている光景だった。
一瞬死んでるのかと思い、慌てて声をかける。
「おとうちゃん、大丈夫?!
あら~、すごいヨダレ!
サ骨のとこに溜まって湖みたいになってるやん!
すぐ拭くから待ってやぁ。」
タオルで拭うと口の中に溜まってる唾を
自分の舌で押し出して流し出してきた。
まるで待ち構えていたかのように。
一見放心状態に見えたのはそうではなく
意識だけはしっかりしてるのがすぐにわかった。
その後は何度か言葉のやりとりもあり
夜に姉と姪が面会したときも変わりはなく
それなりの会話はあったので
昼のヨダレダラダラのことも忘れかけるところだった。
「もう唾を呑み込む力がなかったんや」
そう気づいたのは明朝父が亡くなった時だった。
喉を麻痺させられて、唾ひとつ呑み込めない歯がゆさ
そしてなんともいえない違和感を感じながら
たった数分の短い間にいろんな思いを馳せながら
やがて内視鏡を突っ込むべく深い眠りについた。
2年ほど前にピロリ菌で引っ掛かった時以来
2度目だ。
私が受けたのは全身麻酔で眠らされている間に
全ての検査を終わらせる、といった
ほとんど苦痛のない検査方法である。
検査台にのぼり、程なく検査前処置が始まる。
「はい、ぬいいとさぁん、麻酔する前に
先に喉の筋肉を麻痺させるお薬いれますね~。」
あ、これや、前にもあったよな。
唯一この検査で苦痛を感じる瞬間である。
「唾が溜まってきてもかまわずダラダラと
お口から流してくださいねぇ。」
確かに、呑もうと思っても呑み込めない。
お言葉に甘えてダラダラと流すことにした。
フッと、数ヵ月前の光景が過った。
「おやじさんもこんな気分だったんだろうか。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結果的には父が亡くなった日の前日となった
その日の昼下がりのこと。
面会に行った私の目に入ってきたのは
半起こしのベットに座らされた父が
首を傾け、口からよだれが流れ放題で
放心状態になっている光景だった。
一瞬死んでるのかと思い、慌てて声をかける。
「おとうちゃん、大丈夫?!
あら~、すごいヨダレ!
サ骨のとこに溜まって湖みたいになってるやん!
すぐ拭くから待ってやぁ。」
タオルで拭うと口の中に溜まってる唾を
自分の舌で押し出して流し出してきた。
まるで待ち構えていたかのように。
一見放心状態に見えたのはそうではなく
意識だけはしっかりしてるのがすぐにわかった。
その後は何度か言葉のやりとりもあり
夜に姉と姪が面会したときも変わりはなく
それなりの会話はあったので
昼のヨダレダラダラのことも忘れかけるところだった。
「もう唾を呑み込む力がなかったんや」
そう気づいたのは明朝父が亡くなった時だった。
喉を麻痺させられて、唾ひとつ呑み込めない歯がゆさ
そしてなんともいえない違和感を感じながら
たった数分の短い間にいろんな思いを馳せながら
やがて内視鏡を突っ込むべく深い眠りについた。