2024年4月26日(金) 00:13 JST

りばいばる

12月初旬、息子Y太の三者懇談に臨むべく中学校に向かって
ふたりで歩いていた時のこと。
唐突にY太がこう切り出した。

「 おかんが作った年賀状、ちょっと拝借させて。」

え?おかんまだ何も考えてへんし。
ってか、何も思い浮かべへんからもう今回は
市販のイラスト集で無難に済ませようと思ってたんやけど。

「 ほらアレ、パクらせて。案はオレが考えるし。」

え?アレ?
アレなぁ、おかんにとっては過去ネタやねんけどなぁ。
ま、でもあのネタ使った時にはまだY太はこの世に
居てへんかったしな。
よっしゃ、「 りばいばる 」といくか!
そうと決まったら早速動かな!

「 あ、やるのは冬休みに入ってからにしよ。
  P学院のヤツらに見られたらキャーキャーうるさいからな。」

確かに。でもそれで間に合うか?
…なんてことばかり話してたら学校に着いてしまった。
しもた!懇談前の打ち合わせが出来なかった!
受験校、どないすんねん?!

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冬休みに入る前にまずは現場を下撮り。
現場をプリントアウトしたものに下書きしていたら
おもむろにY太が言い出した。

「 この瓦に字ィ描こう。」

え〜!小柄でかわいいおかん(誰も言わないから自分で言う)
そんなとこまで背ぇ届けへんし!
我が家にゃ長身でカッコいい旦那様がいるから
( あ〜ヨイショっと )脚立ないし!

「 2階のベランダから描くとか。」

却下。危険極まりない。

「 後からパソコンで描き足すとか。」

それはおかんのポリシーに反する。
( いっちょまえにポリシーなんてあるのか?!)
ま、なんとか考えるわ。

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冬休みに入ったものの、諸々あったりお天気が悪かったりで
なかなか事が進まず、2012年も残り片手となったある深夜。
屋根に貼り付ける「 コンテンツ 」は出来上がったものの
小柄でかわいいぬいいとさんではどうにもできない。
( 誰も言わないから自分で言う。)
長身でカッコいい旦那様は( あ〜ヨイショっと )
このような私の正気の沙汰でない戯れ事に
付き合ってくれるワケもない。
週間天気予報から判断してもう決行するのは
明朝しかないのだが…

「 やっぱりもう諦めよっかなぁ… 」
と、半分寝かけていたY太にギブアップ宣言をしたら
「 どれどれ 」
とY太は寝床から起き上がってきて夜の静寂の玄関先に出て
用意したコンテンツを椅子に乗ってあれよあれよと
玄関軒下の瓦にペタペタと張り付けていった。
末っ子ゆえ未だに「 チビさん 」と称されているが
背丈はもうすぐ長身でカッコいい旦那様を(あ〜ヨイショっと)
追い越そうかという勢い、デカくなったもんだ。

「 あとは任せた!」

任されよう。p(´⌒`q)

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明朝まだ暗いうちからぬいいとさん、玄関前の道路で
チョーク片手にアスファルトにしゃがみ込み怪しげな行動開始。
とにかく速やかに、密やかに、ご近所さんに不信人物と
間違われて110番通報されないうちに、日の出時刻に合わせて
完成させて事を済ませて証拠隠滅してしまわないと!

焦りで少しバランスが悪くなったけどなんとか
ミッションクリア。
怪しげな落書きに足を止めて見入ってしまった通行人の
足元入り、のオマケ付きだ。

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サッサと水撒いて何もなかったように装ったけど
撒いた水がなかなか乾かない。

ぬ「 このまま寒さで凍って誰か滑ったらどうしよ?」
雪「 おかん、それ、道路交通法違反やで。捕まるで。」
免許取り立ての長女・雪が覚えたての知識で母を脅す。

「 撮影しただけで終わった気になったらアカンで。
  はよ印刷してしまえよ。」
出来上がったブツを誉めることなどは決してないが
私の習性を熟知する長身でカッコいい旦那様から
(あ〜ヨイショっと)ナイスなツッコミが入る。
実際、こう言われたにもかかわらずすべてが終わったのは
それから3日後だった。
ちゃんと元旦に届いたかなぁ…。

クールな美術系女、笑はやっぱり鼻で笑うだけだ。
さて、Y太のマブダチたちの反応やいかに。
今度会った時に見る目が変わってしまっていることは
想定内としよう。