2024年12月24日(火) 04:36 JST

お話上手・その1

楽天イーグルスのまー君こと田中将大選手が
プロに入団したばかりの頃のお話。

シーズン前にルーキーばかりを集めた研修会なるものの場で
「 マスコミに対する応対の仕方 」という講義があった。

講師曰わく。
「 では『 今シーズンの抱負は?』とインタビューされたら
どう答えますか?ハイ、田中くん。」

まー君、曰わく
「 はい。
まずは社会人として……云々かんぬん……
その上で体力強化、精神面での……云々かんぬん……
以上、精一杯がんばります!」

あまりの受け答えのすばらしさに感嘆のため息が
講師や他のルーキーの口から洩れた。

講習のあと、その様子を取材していた局アナが
まー君に訊ねた。

「 なぜそんなに受け答えが上手なんですか?」

まー君はひとこと。
「『 慣れ 』です。」

そうだな。
まー君、ゆうちゃんと高校生の時から常にマスコミから
注目されていた。
もう、ハンパないほど取材はうけていたはずだ。

「 しゃべりが上手になるにはどうしたらよいか?」
なんて考える以前に話す機会が怒濤のことくやってくる。
数をこなすうちに術が身についてくる。
もちろんまー君本人もただ漠然と受け答えするだけでなく
そのたびにどうすれば自分の思いがみんなに伝わるか
ということを考えながら話すということを
いつも怠らなかった、と私は察している。

しかしまー君にとって、話上手になることが
本来の目的ではない。

「 野球人として生きていく 」

という本来のテーマを追い続けていく上で
副産物として「 お話上手 」というものがついてきただけだ。

「 ぬいいとさん、そんなこというけどやっぱり
本人の資質もあるで。」
そんなもん、あたしの知ったこっちゃない(笑)。
( 注「 私の知ったことではありません 」の意。)
資質の有る無しで左右されるのは習得速度くらいだ。
資質があってもやらなきゃ進歩はなし
資質がなくてもバケる場合もある。

ちなみに、まー君のお話上手は私が知る限りでは
「 野球に関して 」だけである。
その他の話題に関して、あるいは普段の彼に関しては
あたしの知ったこっちゃない。(笑)

ただ、ひとつの道で得た術は、他の道でも応用できる術が
あるのも事実だ。

(「 お話上手・その2 」につづく )