2025年11月10日(月) 12:32 JST

鼻先にんじん

Y太は提出物が苦手だ。
まず自ら動いてちゃっちゃと片付けてしまうタイプではない。
周りに促されてボチボチ動く。
苦手なものはいつまでも残っている。
当然夏休みの課題はいつもギリギリか、期限を過ぎての提出。
中には出せず仕舞いのものもしばしばだ。

そんなY太がこの夏休み、めずらしく始業式の二日前に
めでたく宿題をぜんぶ済ませた。
特にラスト数日間のスパートには素晴らしいものがあった。

「 へぇ〜、やるじゃん。」

安堵しながらも、どういう風の吹き回しかなぁと
小首をかしげていたら、夏休みの最終日に旦那さんとY太は
ふたりで旅に出かけてしまった。

「 夏休みの宿題を全て終わらせたら
 味噌カツ食いに、名古屋まで連れて行ってやる。」

(-_-;)なるほど。
旦那さん、Y太の鼻先ににんじんぶら下げたんか。

「 自らの鍛錬に関するもの(この場合は宿題)に
 褒美や報酬は与えない 」
というのが私の基本的な考えだが
「 どんな方法使ってでも、やるように仕向けることも
 時には必要だ。」
というのが旦那さんの考えだ。

よってこれまでにも私の知らない間に父子で密約が交わされ
鼻先にんじんの効果でこどもたちがミッションクリアに
至ったこと数知れず。

正直、母としてはちょっぴりオモシロくない。(笑)

ただ、ウチの旦那さんの鼻先にんじんのぶら下げ方
飴とムチのさじ加減は絶妙で、その効果の絶大なことを
鑑みると、この鼻先にんじんを容認せざるを得ないのが実状だ。

今回の旅の途中で旦那さんはまたY太の鼻先に
にんじんをぶら下げた。

「 公立高校に通ったらスマホにしてやる。
  私立なら今まで通りの携帯。」

今の自力でほぼ9割方行ける私立で甘んじる空気だったのが
一転してにわかに公立高校を物色し始めたY太。
やっぱりコイツを操れるのは旦那さんしかいない。脱帽。

「 オレ、笑ネェが行ってたおこげ高校で、えぇわ。」

凸(`皿´メ)゛はぁ゛〜〜〜〜〜っ?!
「 で、えぇ 」って、おこげ高校ナメんなよぉ〜〜〜〜〜!

…笑、怒っといたったからな。^^

いじめ

テレビニュース番組から。

「 今の教育現場はなっていない。
  いじめをなくすために思い切った対応をしないと!」

フムフム。で、どないするの?

「 いじめた側を出席停止にする!」

ミ(ο_ _)ο ドテッ…!
いや、それって、なんか違うような気がする。(-_-#)
まぁ、えぇわ、それもひとつの考えとしよう。
…で、あなた、いったい誰?
( ハナテン中古車センターCM風に )←関西ローカル

「 ほにゃらら教育委員会 」

はぁ゛〜〜〜〜〜っ?!Σ( ̄□ ̄!!)
そら、教育委員会がそんな考えやったら現場もくさるわ!

続いて教育のスペシャリストらしき人が語る。

「 いじめをなくすためには…云々かんぬん…。」

いじめはね、なくならんよ。
常に存在するものと考えな。

「 いじめは大なり小なり必ず存在するものである。」
ということが頭にあるひとが教育現場にいないと
問題は解決しない。
残念ながら教育現場って、その本質がわかっている人物が
生きにくい組織になっちゃっているように感じる。

ま、メディアに流れた言葉尻をあげつらうのは
これくらいにしとこっと。

いじめられる側はさておき、いじめる側はえてして
「 満たされていない 」場合が大半だ。
その上に制裁あたえるのはなんだかなぁ…。
簡単に済む話じゃないことはよくわかってるけど。

:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--

雪の交友関係が少し気になり、担任の先生に相談した時
こちらには何も「 いじめ 」という言葉も認識もなかったのに
のっけから
「 ウチのクラスにいじめはありません!」
と言い放たれたことがあった。

「 え?何もそんなこと訊いてないのに何でそこに話が行く?」
当時ウブなぬいいと母さんはよう突っ込まなんだけど。
( 突っ込めなかった、の意 )

その先生のクラスは一見楽しそうな
明るい雰囲気のクラスだったが
雪にとっては居心地の悪いクラスだったんじゃないかと思う。
もう、大昔のお話となっちゃったけど。

教育現場に携わっていて
「 いじめはない。」
と言い切る人は、私は信用しない。

:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--

笑のクラスでいじめ疑惑の問題が挙がった。
何人かである特定の子を嫌がらせしているという。
学級会で先生が尋ねた。

「 〇〇さんをいじめた人がいるって本当?
  正直に手を挙げなさい。」

クラスでたったひとり、笑が手を挙げた。
今なら出席停止モンか?

「 どういうことをすれば相手が嫌がるか。」
ということを人一倍わかっている人間である
とは、バカな親の弁護と受け取っていただいて結構。

いじめた側にも「 いじめた 」という意識がない場合もある。

:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--

最近Y太が学校でよくモノを無くしてくる。
おそらく本人の管理不行き届きだろうが
茶化して尋ねてみた。

ぬ「 アンタァ、ひょっとして誰かに物隠されて
 いじめられてるんちゃうん?(笑)」

Y「 は?こんなもん、いじめのうちに入れへんし。」

少し物がなくなっただけで過敏に反応する子( あるいは親 )
もいれば、ロッカーに閉じ込められてそのまま横倒しにされ
危うくケガしそうになっても
「 ちょっとふざけてただけやん。」
と、アッケラカンとしているウチのボンみたいなヤツもおる。
( もっとも「 そういうところにいじめが潜んでるねんで 」  というご指摘もある。ごもっとも。)

世間をさわがせているあのいじめ事件にあるような
犯罪に匹敵するほどのいじめは、本当に聞いていて
痛ましく、なんとかならなかったものかと残念でたまらない。

一方、世の中に転がっている「 おふざけごと 」には
受け手の感じ方によって、いじめともそうでないとも
どちらにでも転ぶグレーゾーンの事柄が多くを占めている。

「 深刻ないじめ 」と「 単なるおふざけごと 」
見極めはむずかしい。
そこのところ一番よく判断できるのは親よりも、教師よりも
周りにいるこどもたちだ。

…なんやねん、あの黒塗りだらけのアンケート用紙。
バカにしてるとしか思えん。

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆

「 いじめ 」
あ〜、とめどない。
でも、ぬいいとさん、えらそうにいろいろ書いてるけど
あんた、ちゃんとこどもたちと向き合ってる?

お話上手・その3

(「 お話上手・その1
 「 お話上手・その2 」よりつづき )

:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--

「 なんで加害者がオレらの住所知ってるねん?!
  被害者のオレらが加害者の居場所教えてくれ言うても
 絶対教えてくれへんのになんでアッチには教えるねん?!
  おかしいやろ!!」

小粋ないでたちの殿方が謝罪にきた男性に向かって吠えた。
あの不幸な出来事があってからわずか数日のあいだに
もう何回彼を見ただろう。

無免許の未成年が運転していた車が登校途中の小学生の列に
突っ込み、尊い4つの命が奪われた亀岡市での事故。
冒頭のシーンは事故の数日後に加害者の父親が被害者宅に
謝罪しにきた時だったか
情報漏洩した警察が謝罪にきた時だったかのやりとりが
オンエアされた時のもの。

「 本当はこんなテレビだとか表立ったところになんか
  誰も出たくない。  だけど誰かが言わなきゃ忘れられてしまう。
 娘や孫が遭ってしまった悲劇を風化させちゃいけない」
身重だった娘を亡くした彼はその後も幾度となく
メディアに登場した。

事故当初はカメラが向けられた時だけ受け答えをしていた彼。
その彼が危険運転致死傷罪の高い壁にぶち当たり

「 法律を絶対にかえてやる 」

という使命を背負った時から
自らカメラの前に出向くようになった。

おそらく初めてであろうスタジオセットの中で
緊張した面持ちでMCの質問に答える彼。
声はこころなしか上擦っていた。

「 この人も、これからだんだん『 お話上手 』に
  なっていくんだろうか。」

ふと、そう思った。
横田さん、光市の本村さん、東名高速の事故で亡くなった
姉妹のご両親、松本市の河野さん…
私が気づいた時にはもうすでに皆さん『 お話上手 』だった。
カメラ取材にも上擦ることなく落ち着いて、淡々と語られる。
皆さん、もとはといえばこんなにメディアに晒されることが
ないはずの一庶民だった。
『 運命のいたずら 』
それがなければ。

自らメディアに出向いた彼の出で立ちは
カッコいいちょい悪オヤジ風ではなく
凛々しいスーツ姿だった。
世間一般の感覚からすれば当然のことだが
彼にすればこのスーツは「 鎧 」を意味するのではないか
と感じたのは私の思い過ごしだろうか。

こんなことで著名になることは彼にとって本意ではない。
「 できることならば娘とかわってやりたい 」
彼の成し得ない本当の願い、痛いほどよくわかる。

彼が「 お話上手 」になる前に、少しでも早い時期に
彼の「 せめてもの願い 」が成就することを祈るばかりである。

感謝しています

「 みんな同じようなコメントしてるけど『 こう言え。』って
  言われてるんかなぁ。」

オリンピックメダリストたちのコメントを聞いていての
うちの旦那様の率直なコメント。
(^-^) ま、確かに。

「 ここまで支えてくれた家族や周りの方たち、チームメート
 そして声をからしてまで応援してくださった皆さんに
  心から感謝したいと思います。」

強制的に言わされているとは考えられないが
何か例文でもあるのかなと、ふとよぎってしまうのも
わからなくはない。

ただ、おそらくどのメダリストもその言葉に偽りは
ないと思うし、メダリストに限らずあの舞台に関わった
アスリートの大半がそういう思いを持っていると思う。

スポーツは( スポーツに限ったことじゃないけど )
大なり小なりお金がかかる。
そして目指すところが高くなるほどほぼそれに比例して
先立つものの必要性が大きくなる。

たとえばアスリートたちの過去を振り返った場合
幼少時代、意欲と才能はあるけどレッスン料が払えなくて
教室をやめざるをえなかった同級生が周りにいたかもしれない。

子どもの遠征費捻出に借金しまくってる親がいる
なんて話を小耳に挟んだことがあったかもしれない。

会社の経費節減のために所属クラブが解散に追い込まれる
なんて話はもう珍しくないお話になった。

オリンピック出場を決めたもののスポンサーがなく
東奔西走した水泳メダリストもいた。

そういやあの熱血市民ランナーもオリンピック直前には
ミキハウスのウェアを着ていたな。

そんな壁を乗り越えてきた選手たちはもちろん
実際にそんな壁に合うことなく自らの鍛錬だけに注力できた
恵まれた選手たちもきっとそんな話がまわりにゴロゴロ
転がっていて、世の中の厳しさを感じていただろう。

「 心から感謝したい。」

ありきたりだけど、生きた言葉だ。

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆

オリンピック選手に限らず、イマドキの若いモンは
本当に大変だなぁと、常日頃から職場の keshidama さんと
話している。

この厳しい世の中に揉まれている、慎ましやかだけど
底力のあるイマドキの若いモンたち。
彼らに任せれば未来はそんなに暗くないとは思うのだが
はたしてその彼らが世の中の中枢を担うまで
この日本は無事に存在しているだろうか。

塾やお教室に真面目に通ってさえすればエライとほめられ
親に大枚はたかせて入学した大学は遊ぶところだと豪語し
売り手市場で企業から手厚い接待を受けた就職活動を経て
絢爛豪華な結婚式をすることが親孝行だった
バブル世代の私たち。
そんなバブリーが今、世の中の中枢を担っている。
イマドキの若いモンに比べてどこか軟弱なところがあるのは
否めない、と感じるのはぬいいとさんだけだろうか。
それとも担う世の中が厳しすぎるのか。

イマドキの若いもんにバトンを渡すまで
なんとか日本をなくさないようにしないと。
がんばろう、バブル世代!

お話上手・その2

娘と食卓を囲んでいたとある夕暮れ時、テレビの報道番組で
北朝鮮拉致被害者・横田めぐみさんの母、早紀江さんが
取材に応じてあれこれ語られていた。

笑「 この人、しゃべり上手いなぁ。」
ぬ「 そりゃなぁ、これだけ場数踏めば上手くもなるで。
ホンマ、元はといえばなんてこたぁない
普通のご婦人のはずやったのになぁ…。」

講演、陳情、取材、各界要人との面会、マスコミへの露出…
もう何十年と、ご本人の意志とは関係なく降りかかっている。
いや、正確には
「 理不尽な理由で連れ去られた娘を連れ戻したい 」
ただ、それ一心で動いてらっしゃるがゆえにいろんなものが
付随してきている、ということかな。

著名人になりたかったわけではない。
偉業を達成したわけでもなんらかの罪を犯したわけでもない。
人脈を広げて認めてもらおうと思っているわけでもない。
ただ、平凡に穏やかに家族と一緒に暮らしたかった
そんなご夫婦だ。

前述、まー君の場合は自ら掲げた目標に付随してくる副産物は
いいことも悪いこともすべて前向きに受け入れることが
比較的容易である。
しかし横田さん夫妻の場合、リスクはもちろんのこと
一見かっこいいと思える様々な事象やメリットに対して
ご本人がどう捉えるかは自由としても、第三者が安易に
評するのはいかがなものかと思う。
間違っても
「 不幸にみまわれたけど、有名になれたし、いいじゃん。」
なんて言葉は御法度だし、そんなこというヤツは
ぬいいとさんが月に代わってオシオキよ!( 古 )

「 あの娘はあの日あの時、たまたまあの場所を
通りかかっただけなのに。
あの日の時間の歯車がひとつでもずれていたら
こんな目には遭わなかったのに。」

時のいたずらで人生を翻弄された方たちがゴマンといる。
平穏な日々を送っていることが奇跡的なのかもしれない。

(「 お話上手・その3 」につづく )

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