彼
- 2019年10月11日(金) 02:49 JST
- 投稿者: ぬいいとさん
- 表示回数 1,871
あれは確か私が22の夏のこと。
学生時代に私の実家の食堂でバイトをしていたペコちゃんが、卒業後にふらりと若男子ふたりを連れてやってきた。
ひとりは今の私の旦那さん。
そしてそのとなりにいたのが「彼」だった。
「やぁ、ペコちゃん!どないしたん?」
「海に行ってきて、その帰りやねん。」
ペコちゃん含め、3人は同い年で私よりひとつ年下だった。
四人掛けの席でそばをすすりながら
(実は何を食べていたかは覚えていないが、たぶん旦那さんはそばを食べてたに違いない。)
「はじめまして」
「あ、どうも」
と、当たり障りのない会話をしてその日はおひらきとなった。
その後、旦那さんとはその二、三年後に付き合うことになり、「彼」ともその時再会した。
あ、いや、まてよ?
一回最初に出会った四人で飲み会があったな。
あの時は、アタシ呑みすぎてブッ潰れたな。
どえらい醜態さらしたのだけれど、それをここで話すと
「そんな恥ずかしいこと書くな!」
と、旦那さんに怒られて家追い出されるので、ここではカット。
聞きたい人は直接ぬいいとさんまで(笑)。
それで久々に再会した「彼」の横には後に嫁となる「彼女」がいた。
「彼」「彼女」そして旦那さんは同じ高校の同級生だ。
いいこと悪いこと、よく知った仲間だ。
その後お互いに結婚し、子どもも生まれ、ちょくちょくコンタクト取りぃの、家族ぐるみで会いぃのといった付き合いが続いた。
月日は流れ、お互いにいそがしい年頃となり、会う回数は減ったものの、気持ちの上では、特に旦那さんにとっては大事な存在だった。
10年程前だろうか、双方の子どもを連れて魚釣りにいった。
ひさびさの集まりだった。
アウトドアレジャー皆無の我が家に釣りが趣味という「彼」がアレコレ手解きしてくれる。
高校の時に「彼」は旦那さんにパチンコを手解きしてくれ、以来「パチンコのおっしょはん」と呼んでいたが、今度は「釣りのおっしょはん」となった。
(本当はパチンコ18歳未満ペケなのだが、そこは昭和の時代である。)
聞けばしばらく会わないうちにいろんな趣味に「彼」は興じていた。
釣りに盆栽、将棋もやったるかな?
「釣りやって、盆栽いじって、パチンコやって、ご主人、老後が楽しみにでんなぁ!(笑)」
そんな言葉をかけたぬいいとさんだった。
―――――――――――――
そんな「彼」が老後を迎えることなく逝ってしまった。
五年も闘病していたのにそんな陰すら見せなかった。
周囲への口止めは「彼」の頑ななまでの希望だった。
亡くなる二週間前に旦那さんが「彼」に逢うことができたのがせめてもの慰めか。
ギリギリのタイミングで教えてくれた「彼女」とそれを後押ししたペコちゃんに感謝。
合掌。
学生時代に私の実家の食堂でバイトをしていたペコちゃんが、卒業後にふらりと若男子ふたりを連れてやってきた。
ひとりは今の私の旦那さん。
そしてそのとなりにいたのが「彼」だった。
「やぁ、ペコちゃん!どないしたん?」
「海に行ってきて、その帰りやねん。」
ペコちゃん含め、3人は同い年で私よりひとつ年下だった。
四人掛けの席でそばをすすりながら
(実は何を食べていたかは覚えていないが、たぶん旦那さんはそばを食べてたに違いない。)
「はじめまして」
「あ、どうも」
と、当たり障りのない会話をしてその日はおひらきとなった。
その後、旦那さんとはその二、三年後に付き合うことになり、「彼」ともその時再会した。
あ、いや、まてよ?
一回最初に出会った四人で飲み会があったな。
あの時は、アタシ呑みすぎてブッ潰れたな。
どえらい醜態さらしたのだけれど、それをここで話すと
「そんな恥ずかしいこと書くな!」
と、旦那さんに怒られて家追い出されるので、ここではカット。
聞きたい人は直接ぬいいとさんまで(笑)。
それで久々に再会した「彼」の横には後に嫁となる「彼女」がいた。
「彼」「彼女」そして旦那さんは同じ高校の同級生だ。
いいこと悪いこと、よく知った仲間だ。
その後お互いに結婚し、子どもも生まれ、ちょくちょくコンタクト取りぃの、家族ぐるみで会いぃのといった付き合いが続いた。
月日は流れ、お互いにいそがしい年頃となり、会う回数は減ったものの、気持ちの上では、特に旦那さんにとっては大事な存在だった。
10年程前だろうか、双方の子どもを連れて魚釣りにいった。
ひさびさの集まりだった。
アウトドアレジャー皆無の我が家に釣りが趣味という「彼」がアレコレ手解きしてくれる。
高校の時に「彼」は旦那さんにパチンコを手解きしてくれ、以来「パチンコのおっしょはん」と呼んでいたが、今度は「釣りのおっしょはん」となった。
(本当はパチンコ18歳未満ペケなのだが、そこは昭和の時代である。)
聞けばしばらく会わないうちにいろんな趣味に「彼」は興じていた。
釣りに盆栽、将棋もやったるかな?
「釣りやって、盆栽いじって、パチンコやって、ご主人、老後が楽しみにでんなぁ!(笑)」
そんな言葉をかけたぬいいとさんだった。
―――――――――――――
そんな「彼」が老後を迎えることなく逝ってしまった。
五年も闘病していたのにそんな陰すら見せなかった。
周囲への口止めは「彼」の頑ななまでの希望だった。
亡くなる二週間前に旦那さんが「彼」に逢うことができたのがせめてもの慰めか。
ギリギリのタイミングで教えてくれた「彼女」とそれを後押ししたペコちゃんに感謝。
合掌。